「何も足さない、何も引かない」、そんな作品ですが、劇場映画の醍醐味とすばらしい感動を与えてくれました。



台詞は最小限、音楽も作品を引き立たせるだけの黒子役。役者さんの自然体の演技に加えて、生(き)で撮影した大自然の映像が作品の質をいっそう高めているように思います。
演出すら余計なものと思わせるほど、純粋に監督されています。
だからこそなのか、ラスト近くでの、「本来仲間であり剱岳登頂の至上命令を出した陸軍がその功績を認めないシーンと、ライバルであった山岳会からの手旗信号による祝福メッセージシーンを抱き合わせた演出」は、目頭をを熱くさせてくれます。
これは私の想像ですが、木村大作氏は、「演出に懲り過ぎた、そしてCGや合成・空撮に頼り本来の撮影をおろそかにした」最近の映画にたいして、警鐘を鳴らしたかったのではないでしょうか。
役者さんの演技を大切にし、大自然をありのままに伝える、撮影をとっても大切にした作品のように思えます。
<剱岳 点の記>は、「カメラマン木村大作氏」の監督だからこそできた超自然体作品です。後世に残る名作だと思います。
昨今のテレビで流行の「長々と続く台詞、それでも表現ができないのかナレーションまで入れる」劣悪・稚拙なドラマは、もう見ることができません。